ライフサイクルコスト(Life Cycle Cost)とは
ライフサイクルコストは、住宅の建設から使用、維持管理、廃棄までの全期間にわたる総費用を示します。
イニシャルコストとランニングコストを合計したもので、住宅のライフサイクル(新築から解体まで)全体を考慮した、経済的な判断基準になります。
これらのコストを考慮することで、新築する際その建物は長期的に見て高いのか、安いのか判断できるようになります。
イニシャルコスト(Initial Cost)
イニシャルコストは、住宅を建てる際に必要な初期費用を指します。
具体的には、土地の購入費用、建物の設計費用、建築許可の取得費用、建設費用、諸経費などが含まれます。
建物の品質や耐久性に影響を及ぼす要素でもあります。
初期投資を抑えるために、複数の供給業者から見積もりを取り、コストと品質のバランスを取ることが重要です。
ランニングコスト(Running Cost)
ランニングコストは、住宅を維持・管理するために必要な、継続的な費用を指します。
具体的には、水道料金、下水道使用料、光熱費、固定資産税、火災保険料、修繕費などが含まれます。
住宅を使用している間に発生する日常的な費用です。
メンテナンスコスト(Maintenance Cost)
修繕・維持費用を指します。
屋根や外壁、設備の点検や清掃、修繕・管理、更新、改修などが含まれます。
最初に建築したとき選んだ建材によって、後々修繕費に大きな差が生じます。
一般的に、築年数が重なるほど金額が増えていきます。
参考リンク:住宅金融支援機構ホームページ 入居後の住まいの保守管理「マイホーム維持管理の目安」
ライフサイクルコストの重要性
住宅のライフサイクルコストを最小化するために、住宅を計画する際に建物の設計や材料選定、エネルギー効率などを検討することが重要です。
以下の点に気を付けましょう。
- コストの試算:
- ランニングコストはライフサイクルコスト全体のおおよそ4分の1程度を占めています。初期費用だけでなく、将来の運用コストも考慮して設計することが必要です。
- コストの最適化:
- 定期的な修繕を行うことで、建物のライフサイクルコストを最適化(逓減)できます。
- 長寿命かつ耐久性に優れた建材の採用や、エネルギー・水の使用量の削減、維持・管理しやすい体制の構築などがポイントです。
- コストの誤差:
- 建物の寿命は約60年程度とされていますが、住み続けるほどライフサイクルコストの計算には誤差が生じることがあります。事前に誤差を考慮して検討することが大切です。
もし世帯主が死亡した場合、住宅ローンは団体信用生命保険で返済できますが、極力メンテナンスコストもかからない住宅を家族に残したいですね。
ライフサイクルコストを最小化するには
- 長期的な視点での判断:
- イニシャルコストだけでなく、長期的な視点での経済的側面を考慮して判断することが大切です。
- ライフサイクルコストを最小化するために、初期投資とランニングコストのバランスを取りながら意思決定を行いましょう。
- 設計段階での選択:
- 建物の設計段階で、エネルギー効率を最大化するような設計を行います。適切な断熱材、窓の配置、日射を活用した設計などが含まれます。
- エネルギー効率の高い設計は、ランニングコストを削減し、ひいてはライフサイクルコストを低減します。
- 材料の選定:
- 長寿命でメンテナンスが少なく、エネルギー効率の高い建材を選ぶことが重要です。
- 例えば、高品質な窓や断熱材、耐久性のある屋根材を選ぶことで、メンテナンス費用を削減できます。
- エネルギー効率の向上:
- ソーラーパネルや高効率の暖房・冷房システムを導入することで、エネルギー消費を削減できます。
- エネルギー効率の向上は、ランニングコストを低減し、ライフサイクルコストを抑える手段です。
- 定期的なメンテナンス:
- 定期的な点検やメンテナンスを行い、建物の劣化を防ぎます。
- メンテナンスを怠ると、修繕費用が増加し、ライフサイクルコストが上昇します。
これらのポイントを考慮することで、住宅のライフサイクルコストを最小限に抑えることができます。
住宅は大きな箱のようなモノです。箱の上(屋根)、横(外壁)、下(基礎)のそれぞれの面を意識し、耐久性が高い建材(建材メーカーが想定する耐用年数が長い建材)で囲うことで長持ちさせることができます。
一方、エコキュートやパワーコンディショナーなど電気機器は消耗品ですので、ハウスメーカーごとの差は生じにくいでしょう。
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