工法
木造軸組工法
木造軸組構法とは、建築構造の木構造の構法のひとつです。
日本で古くから発達してきた伝統工法を簡略化・発展させた構法で、在来工法とも呼ばれています。
主に柱や梁といった軸組(線材)で支え、設計自由度が比較的高めの工法です。
木造軸組構法+構造用合板(耐力面材)
構造用合板とは、構造耐力上主要な部分に用いられた合板を指します。
外壁下地・床下地・屋根下地に構造用合板(または構造用パネル)を用いることで、優れた耐震性・耐風性・気密性・防音性が確保できます。
ハウスメーカーによって、構造用合板をオプション扱いにしているところもあります。
木造枠組壁構法
木造枠組壁構法は、耐力壁と剛床を強固に一体化した箱型の構造で、フレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けた壁や床(面材)で支えます。
日本では通称「ツーバイフォー工法」とも呼ばれます。
高い耐震性・耐火性・断熱性・気密性・防音性を発揮できます。
断熱材(屋根、天井、壁、床)
熱伝導率が低い(熱が伝わりにくい)断熱材を分厚く使うことで、熱貫流率が低く(室内の温度が保たれやすく)なります。
屋根の下に断熱材がある方が、天井の上に断熱材があるより、屋根裏空間を確保できる分室内に熱が伝わりにくい(断熱性が高い)傾向があります。
建材の熱貫流率が低いほど、断熱性が高いことを意味します。
無機繊維系 グラスウール
グラスウールは、リサイクルガラスを高温で溶解し綿状に繊維化した断熱材です。
高性能グラスウールは熱伝導率が低いわりに価格が安いため、ローコスト住宅でよく使われています。
建築後、壁体内結露を起こし壁の中で自重で下に落ちることがありますので、通気性を確保したり対策が施されることが重要です。
部位 | 種類 | 密度 (kg/㎥) | 熱伝導率 (W/(m・K)) | 製品厚さ (mm) | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) |
天井 | 高性能グラスウール断熱材 | 14 | 0.038 | 155 | 0.234 |
外壁 | 高性能グラスウール断熱材 | 20 | 0.035 | 105 | 0.413 |
無機繊維系 ロックウール
ロックウールは人造繊維で、鉱物から作られている断熱材です。
元々は「玄武岩」のような本物の岩(ロック)から作られ、その他にも数種の天然岩石を使われています。
部位 | 種類 | 密度 (kg/㎥) | 熱伝導率 (W/(m・K)) | 製品厚さ (mm) | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) |
天井 | ロックウール断熱材 | 30以上 | 0.038 | 92 | 0.201 |
外壁 | ロックウール断熱材 | 30以上 | 0.038 | 90 | 0.492 |
木質繊維系 セルローズファイバー
セルローズファイバーは、回収された新聞古紙を再利用して作られた断熱材です。
難燃性、防水性、防カビ性などの性能が付加されています。
発泡プラスチック系 ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
ポリスチレンフォームは、ポリスチレンを主成分とした発泡プラスチック系の断熱材です。
ビーズ法ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂と発泡剤を主な原料としています。
加工しやすく、金型を使って成型できるため、単純な敷き詰めでは対応できない場所(屋根、床)にも施工できます。
部位 | 種類 | 熱伝導率 (W/(m・K)) | 製品厚さ (mm) | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) |
屋根 | EPS1 | 0.034 | 235 | 0.218以下 (推定) |
外壁 | EPS1 | 0.034 | 89 | 0.512 |
床 | EPS1 | 0.034 | 89 | 0.425 |
部位 | 種類 | 熱伝導率 (W/(m・K)) | 製品厚さ (mm) | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) |
屋根 | EPS1 | 0.034 | 235 | 0.218以下 (推定) |
外壁 | EPS1 | 0.034 | 140 | 0.344 |
床 | EPS1 | 0.034 | 140 | 0.286 |
発泡プラスチック系 硬質ウレタンフォーム(吹付)
硬質ウレタンフォームは、微細な気泡の中に熱伝導率が極めて小さいガスを閉じ込めた断熱材です。
現場施工で発泡させるため建材と接着し、複雑な構造でも隙間なく断熱層を作ることができます。
アクアフォーム®・アクアフォーム®NEO|製品紹介|日本アクア (n-aqua.jp)
主な特性 | 硬質ポリウレタンフォーム | ウレタンフォーム工業会 (jufa-urethane.org)
開口部(窓、玄関ドア)
窓
高度経済成長期以降「アルミサッシ+単板ガラス」が主流でしたが、2000年代から「アルミサッシ+複層ガラス」が普及しだしました。
アルミニウムは熱伝導率が高く、外気を室内に伝えてしまいます。
2020年代では「アルミ樹脂複合サッシ+複層ガラス」と「樹脂サッシ+複層ガラス」が主流です。
建具 | ガラス | ガス | 中空層の厚さ | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) | 備考 |
アルミ樹脂複合 | ペアガラス Low-E | アルゴンガス | 14mm以上 | 2.33 | |
樹脂 | ペアガラス Low-E | アルゴンガス | 10mm以上 | 2.15 | |
樹脂 | トリプルガラス Low-E 2枚 | アルゴンガス | 18mm(2層) | 0.73 | 一条工務店 防犯ツインLow-E トリプル樹脂サッシ |
Low-Eとは、Low Emissivity(低放射)の略です。表面に特殊な金属膜をコーティングし、紫外線や赤外線の透過を防ぎます。
玄関ドア
枠 | 戸 | ガラス | 中空層 | 熱貫流率 (W/(㎥・K)) |
金属製 | 金属製 フラッシュ構造 ポストなし ドア内ガラスあり | 複層 Low-E | アルゴンガス | 2.91 |
金属製 熱遮断構造 | 金属製高断熱 フラッシュ構造 ポストなし ドア内ガラスあり | 複層 Low-E | アルゴンガス 7mm以上 | 1.90 |
換気システム
- 第一種換気:
- 給気と排気の両方を機械的に行います。
- 熱交換器やセントラル空調を組み合わせたシステムが充実しています。
- メリット: 空気の流れを制御でき、健康と省エネに関係します。
- デメリット: 複雑な構造でイニシャルコストが高く、メンテナンスコストも上がります。
- 第二種換気:
- 給気は機械的に行い、排気口はただの開口です。
- 第三種換気:
- 排気は機械的に行い、給気は自然に任せます。
- メリット: シンプルでランニングコストが低いです。
コメント